ざっくり書籍レビュー「WORK SHIFT」著者リンダ・グラットン

こんにちはノッポです。

今回のざっくり書籍レビュー「世界のトップビジネス思想家15人」にも選ばれたロンドン・ビジネススクール教授リンダ・グラットン著作「WORK SHIFT」です。

この本は今後の働き方について、「漫然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ち受け、「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。として、次の5つの要因によって働き方が大きく変わっていくと記されています。

【要因1】テクノロジーの進化
【要因2】グローバル化の進展
【要因3】人口構成の変化と長寿化
【要因4】社会の変化
【要因5】エネルギー・環境問題の深刻化

そんな前途多難な今後の働き方を「漫然と迎える暗い現実」と「主体的に築く明るい未来」の2つのストーリーに沿って話を進める、今後の僕たちの選択する時の材料となる書籍でした。

今回は本題の未来の働き方ではなく、序章で記されている未来の働き方を変えてしまう5つの要因についてざっくり書籍レビューしてみたいと思います。

著者リンダ・グラットンとは?

ロンドン・ビジネススクール教授。経営組織論の世界的権威で、英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」の一人。フィナンシャルタイムズでは「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論化」と賞され、英エコノミスト誌の「仕事の未来を予測する識者トップ200人」に名を連ねる。

組織におけるイノベーションを促進するホットスポッツムーブメントの創始者。『Hot Spots』『Glow』『Living Strategy』など7冊の著作は、計20ヶ国語以上に翻訳されている。

人事、組織活性化のエキスパートとして欧米、アジアのグローバル企業に対してアドバイスを行う。現在、シンガポール政府のヒューマンキャピタルアドバイザリーボードメンバー。

【要因1】テクノロジーの進化

プログラミング

歴史を通じて、テクノロジーはいつも仕事のあり方や人々の働き方に大きな影響を及ぼしてきました。

今後のテクノロジーの進化によってコミュニケーションの取り方や仕事のあり方も大きく変わっていくことになるでしょう。

そんな進化し続けるテクノロジーについて注目するべき10の現象が記されていました。

1.テクノロジーが飛躍的に発展する

近年、テクノロジーの発展を強力に後押ししてきた要因の一つは、コンピューターのコストが急速に下落し続けたことだった。この傾向は今後も続き、比較的安価な携帯端末で、ますます複雑なテクノロジーを活用できるようになる。

2.世界の50億人がインターネットで結ばれる

テクノロジーの進化に後押しされて、世界中の大勢の人々が結びつく。この現象は巨大都市圏だけでなく、農村部でも進む。その結果、これまで存在しなかった「グローバルな意識」が形成される。

3.地球上のいたるところで「クラウド」を利用できるようになる

様々なサービスやアプリケーション、情報にアクセスするためのグローバルなインフラが構築される。コンピューターや携帯端末を持っていれば、誰もが好きな時にそうしたサービスを利用できるようになり、最先端のテクノロジーが世界の隅々にまで普及する可能性が大きく広がる。

4.生産性が向上し続ける

1990年代半ば以降、テクノロジーを牽引役に、経済の生産性が向上し続けてきた。コストがほとんどかからない高度なコミュニケーション技術に背中を押されて、今後もこのトレンドが続くだろう。その過程で重要になるのは、テクノロジーより企業文化、協力関係、チームワークといった組織における資産だ。

5.「ソーシャルな」参加が活発になる

充実したインターネット利用環境と豊富な情報、高い生産性を手にした人々は、それをどう活用するのか。予想されるのは、いわゆる「ソーシャルな」参加の活発化だ。ユーザー発のコンテンツが増え、「群衆の知恵」が新しいアプリケーションを生み出し、社外のアイデアや活動を取り込んだオープンイノベーションが盛んになるだろう。

6.知識のデジタル化が進む

教育機関や企業、政府が情報のデジタル化を積極的に推進していく。正規の学校教育を受けられない人たちにとっては、非常に大きな朗報となるだろう。

7.メガ企業とミニ起業家が台頭する。

テクノロジーの進化に伴い、仕事とビジネスの環境が複雑化する結果、世界を舞台にビジネスを行う巨大なメガ企業が台頭する。その一方で、さまざまな産業のエコシステム(生態系)の中で、無数のミニ起業家達がコラボレーションを通じて価値を生み出し始める。

8.バーチャル空間で働き、「アバター」を利用することが当たり前になる。

世界中の人達と連絡を取り合いながら、バーチャル空間で仕事をする人が増える。それに伴い、バーチャル空間で自分の身代わりとなるキャラクター「アバター(分身)」と呼ばれるものがしばしば用いられるようになる。

9.「人工知能アシスタント」が普及する

膨大な量の情報に押しつぶされないために、データを整理し、課題の優先順位を判断して教えてくれる「人工知能アシスタント」が利用されるようになる。

10.テクノロジーが人間の労働者に取って代わる

今後、生産性向上の大半は、ロボットが仕事の世界で担う役割を拡大させることによって実現するようになる。工場に始まり、高齢者のケアの現場にいたるまで、あらゆる分野でロボットの利用が拡大する。

【要因2】グローバル化の進展

静岡県 三島市 楽寿園

物やサービスのグローバル化が進むと、人々の消費の仕方が大きく様変わりし始めた。多くの国の消費者は、自国の業者から商品を買う以外の選択肢を手にするようになった。

グローバル化の要因に関しては以下の8つを挙げたい。

1.24時間、週7日休まないグローバルな世界が出現した。

政治的な意志と技術的なイノベーションの相乗効果により、グローバル化がますます進み、世界が一つに結びつき始めている。

2.新興国が台頭した。

グローバル化に関して、1990年以降の最も注目すべき現象はおそらく、中国やインド、ブラジルなどの新興国が製造業と貿易の面で頭角を現したことだろう。旺盛な輸出意欲もつ新興国は、国際貿易の勢力図を書き換えつつある。

3.中国とインドの経済が目覚ましく成長した。

中国は1970年代末の改革開放路線への転換を機に、インドは1990年代の経済自由化路線の採用を機に、目を見張るような経済成長を遂げてきた。国内に巨大な消費市場を擁していることにくわえて「世界の工場」として輸出を拡大させ、さらには「世界のバックオフィス(企業の事務処理部門)」として先進国企業の業務受託を増やしていった。今後、次第に高級品や高級サービスに手を広げれば、中国とインドの企業が抱くグローバルな野心も強まっていくだろう。

4.倹約型イノベーションの道が開けた

これまで途上国は主として、先進国のイノベーションにより開発された製品の製造場所という位置づけだったが、近年は、途上国でコストをかけずにイノベーションが成し遂げられ、その成果が先進国に「輸出」されはじめている。この変化がイノベーションのグローバル化に及ぼす影響は、極めて大きいはずだ。

5.新たな人材輩出大国が登場しつつある

中国とインドの人口を合わせると、2010年の時点で26億人。この数字は、2020年に28億人、2050年に30億人に増加すると予測されている。この巨大な人口を味方につけて、インドと中国は世界で指折りの人材輩出大国になりはじめている。武器は、人口だけではない。若者の間でサイエンスを学ぶ意欲が強く、しかも地元企業が人材開発に活発に投資していることも大きな強みになっている。世界の企業はこれまでにもまして、エンジニアと科学者の人材をこの2つの国に求めるようになるだろう。

6.世界中で都市化が進行する

2008年以降、世界の総人口のうちで都市に住む人の数がそれ以外の地域に住む人の数を上回っている。都市への人口流入は今後さらに加速し、メガシティ(巨大都市)ーたいてい大きなスラム地区を抱えているーに住む人の割合がますます上昇する。一方、世界にいくつか出現しつつあるイノベーションの「集積地(クラスター)」に、きわめて有能な人材や教育レベルの高い人材が集中し始めている。

7.バブルの形成と崩壊が繰り返される

好況と不況の繰り返しは、何世紀にも渡って経済を揺るがし続けてきた。それは、今後も変わらないだろう。この点に加えて、多くの先進国の人々が消費を減らし、貯蓄を大幅に増やす必要に迫られているという事情が世界経済に大きな影を落とす。

8.世界のさまざまな地域に貧困層が出現する

現在、経済発展から取り残されている貧困層は、サハラ砂漠以南のアフリカなど一部の地域に集中しているが、グローバル化が進み、世界がますます一体化すれば、先進国も含めて世界中のあらゆる地域に貧困層が出現する。グローバルな市場で求められる高度な専門技能を持たず、そうかといって、高齢化が進む都市住民向けサービスのニーズにこたえる技能と意志のない人たちが、グローバルな下層階級になる。

【要因3】人口構成の変化と長寿化

長野県 松原湖高原オートキャンプ場

社会の人口構成と仕事の世界の間では、切っても切れない結び付きがある。

人口構成の変化と長寿化の要因に関して、注意すべき現象は以下の4つの要因である。

1.Y世代の影響力が拡大する

Y世代が自分たちの希望やニーズを職場に反映させるようになる。ワークライフバランスを重んじ、仕事に面白さを求めるY世代の志向が仕事のあり方や組織のあり方、仕事の環境を大きく変えていくだろう。

2.寿命が長くなる

人々が長生きするようになり、生産的な活動に携わる年数が飛躍的に延びる。60歳を過ぎても働き続ける人が大幅に増えるだろう。

3.ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎える

寿命が延びるのは結構だが、問題は、その人達の働き口をどうやって確保するかだ。高齢者になったベビーブーム世代のかなりの割合が職に就けず、グローバルな貧困層に仲間入りするおそれがある。

4.国境を超えた移住が活発になる

教育を受けたり、高給の職についたりするために、農村から都市へ、あるいは他の国へ移り住む人が増える。また、ケアや支援に関わる職につく人たちが途上国から先進国に移住するケースも多くなるだろう。

【要因4】社会の変化

テクノロジーの進化、グローバル化の進展、人口構成の変化と長寿化という強い力が激しく渦巻く中で、私達がそれに翻弄されつつ変わっていくことは避けられない。

そのような社会の変化の要因に関しては、次の7つの現象が大きな意味をもつだろう。

1.家族のあり方が変わる

世界中で家族の規模が小さくなる。また、養子縁組や離婚、再婚が増え養親や養子、義理の親や義理の兄弟と一緒に暮すケースが多くなり、伝統的な家族のあり方が当たり前でなくなる。

2.自分を見つめ直す人が増える

家族のあり方が変わり、仕事の場で接する人の多様性が高まるにつれて、人々は自分自身について深く考えるようになる。自分にとって、何が大切なのか?自分はどうゆう人生を送りたいのか。こうした点をじっくり考える姿勢は、人生のさまざまな選択肢を検討し、難しい決断を下し、それに伴うデメリットを受け入れるエネルギーと勇気を奮い起こす為に欠かせないものだ。

3.女性の力が強くなる

企業のマネジメント層やリーダー層で女性が担う役割がさらに大きくなる。それにともない、女性が将来にいだく夢、仕事に関する常識、家庭での男女の関係が変わる

4.バランス重視の生き方を選ぶ男性が増える

さまざまなデータによると、男性が自分の役割や人生の選択に関していだく認識も変わり始めている。自分の父親の世代を反面教師に、所得を減らしてでも、家族と過ごす時間を多く取りたいと考える男性が増えるだろう。

5.大企業や政府に対する不信感が強まる

個人とコミュニティ、個人と仕事の関係には、信頼が欠かせない。しかし、先進国では総じて企業や政府、リーダーに対する信頼感が弱まっているようにみえる。この傾向は、今後も続く可能性が高い。

6.幸福感が弱まる

意外なことに、ある人の生活水準が一定レベル以上に達すると、それ以上に生活水準が向上すればするほど、概して幸福感が弱まっていく傾向がある、もし現在のペースで消費が拡大し続ければ、人々の幸福感が減退する可能性が高い。

7.余暇時間が増える

工業化が人々の生活にもたらした特筆すべき変化の一つは、作業の効率化が進んだことにより、自由な時間が大幅に増えたことだった。2010年代まで、そうしたゆとりの時間「思考の余剰(と呼ぶ論者もいる)」の多くは、受動的にテレビを視聴して費やされてきた。しかし、バーチャル空間でおこなえる仕事ができれば、人々はますます多くの「思考の余剰」を手にし、その時間をもっと生産的な活動に用いはじめるかもしれない。

【要因5】エネルギー・環境問題の深刻化

私達が未来にどういう働き方をするかは、エネルギーをどの程度利用できるか、そしてエネルギーの利用が環境にどのような影響を及ぼすかという点と密接に結びついている。

エネルギーと環境問題で注目するべき現象は次の3つが挙げられている。

1.エネルギー価格が上昇する

容易に手に入るエネルギー資源が枯渇し、しかも中国やインドなどでエネルギー需要が激増する結果、エネルギー価格が高騰する。その影響を受けて、モノの輸送や人の移動を減らす必要性が大幅に高まる。

2.環境上の惨事が原因で住居を追われる人が現れる

温室効果ガス排出と地球温暖化の関係は、2010年の段階ですでに懸念の対象になっている。世界のさまざまな地域で生態系が変容し始めており、海水面が上昇し、風の吹き方が変わり、熱波と旱魃が増えている。

3.持続可能性を重んじる文化が形成され始める

容易に手に入るエネルギー資源が乏しくなるにともない、持続可能性に対する関心が高まり、エネルギー効率の高いライフスタイルが広まって、贅沢な消費に歯止めがかかる。持続可能性重視の文化は、私達の働き方にも大きな影響を及ぼすだろう。

感想

今回ボクが読んだ著者リンダ・グラットンの「WORK SHIFT」は、未来の働き方というだれしも興味があるテーマで、今回紹介した「5つの要因」が大きく関係して私達の働き方が変化していくと記されていました。

ボクが紹介した「5つの要因」は序章に書かれていて、本題はこの要因をもとに「漫然と迎える未来」「主体的に迎える未来」の2つのストーリーが描かれていて、これからの時代の変化が訪れたとき、自分がどのような選択をすればいいかのヒントとなる内容でした。

とても考えさせる内容だったので面白かったです。

また2012年発行と、10年前の本で、すでに本の内容が現実になっている事柄もあり、内容の信憑性にも驚かされました。

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