こんにちはノッポです。
日々目まぐるしく進化する身の回りのテクノロジーや医療やAIなど、人類はこの過去100年でそれ以前では考えられないほどのスピードで成長を遂げてきました。
これから先の100年もこの成長は止まることはないでしょう!
そんな興味深いこれから先の100年を妄想の夢物語ではなく、根拠に基づいたリアルな100年を予想する「2100年の科学ライフ」!!
今回も興味深かった章を3つほどとりあげてざっくり書籍レビューしたいと思います。
著者 ミチオ・カクとは?
ニューヨーク私立大学理論物理学教授「ひもの場の理論」の創始者の一人。
『超空間』『サイエンス•インポッシブル』などの著者がベストセラーになっており、後者をもとに、みずから出演するサイエンス•チャンネルのテレビ番組も制作している。
また140局以上のネットワークで放送されるラジオ番組のホストも務めていて、最新の科学を一般読者や視聴者にわかりやすく伝える事に高い評価を得ている。
最前線科学者300人以上へインタビューを行った信憑性の高い未来予測!
この書籍の信憑性が高い理由として、これから記される未来予想は以下のルールにのっとって記されている。
1.本書は新発見の最前線にいるトップクラスの科学者300人以上へのインタビューにもとづいている。 2.本書で触れる科学的発展の内容はどれも、これまで知られている物理法則と矛盾しない。 3.自然界の4つの力(重力/電磁力/弱い核力/強い核力)と基本法則はおおかた明らかにされており、この法則に何か大きな変化は新たに見込めない。 4.本書で触れたすべてのテクノロジーのプロトタイプはすでに存在する。 5.本書は、最先端の研究と言えるテクノロジーをじかに目にしている「インサイダー」によって著されている。
わかりやすく8章の各分野ごとに分けられたそれぞれのこれからの100年
この書籍は各分野を8つにわけてこれからの100年を予想していきます。
さらにその各分野を近未来(現在~2030年まで)世紀の半ば(2030年~2070年まで)遠い未来(2070年~2100年まで)の3つの期間に区切って予測されています。
8つの分野
1.コンピューターの未来 2.人工知能の未来 3.医療の未来 4.ナノテクノロジー 5.エネルギーの未来 6.宇宙旅行の未来 7.富の未来 8.人類の未来 9.2100年のある日 |
今回はこの中から僕が特に気になった「医療の未来」「富の未来」「人類の未来」の3つについてざっくり書籍レビューしたいと思います。
➀医療の未来 ~完璧以上~
人間の願望として昔から変わらないものに、この「不死」や「健康」などの医療に関する悩みがつきまといます。
誰しも健康を気にすること無く日々の生活を送りたいと思っていますし、健康に長生きすることを願っています。
実際に昔に比べると人類の寿命は伸び続けていて、出生時の赤ん坊の死亡率も格段に下がっています。
そんな現代の医療がこれから先の100年どのような成長が予測されるのかが記されていました。
医療の第三段階
これまで医療は歴史的にみると3つの段階を経てきました。
第一の段階は数万年の間続き、医療は迷信や魔術や風説に頼っていて、大半の赤ん坊が出生時の時に死亡していたので、平均寿命は18~20歳あたりを推移していました。
またメイヨー・クリニック(アメリカミネソタ州にある世界的に知名度のある病院)の創設者の一人が日記にこう綴っている。
自分の黒カバンには本当に効き目のある「有効成分」が2つしかない、弓ノコとモルヒネだ。弓ノコは病気になった手足の切断に使われ、モルヒネは切断の痛みを和らげるのに用いられた。この2つはいつも効果があった。しかし黒カバンにある残りのものはすべて偽薬だ。
第二の段階は、19世紀、細菌論(病気の原因は微生物とする考え方)の登場と衛生環境の改善とともに始まった。
1900年には、アメリカの平均寿命は49歳にまで伸びていて、医師は裕福な患者を喜ばせるのではなく、今度は正当性と名声をめぐり、査読のある雑誌で論文を発表して競い合うようになった。
こうして抗生物質やワクチンの発達する舞台が整い、平均寿命は70年以上までに伸びた。
第三の段階は分子医療だ。我々は今、物理学と医学の融合により、医療が原子や分子、そして遺伝子にまで還元される状況を目にしている。
今やDNA分子に沿って並ぶ塩基の正確な配列を解読すれば「生命の書」を読むことができるのだ。
2100年の未来でも人は長生きになるが不死ではない。
2100年の未来でも人はまだ不死の願いは叶ってはいないが、寿命が伸び平均150歳まで生きられる世の中になっていると予想されています。
未来の世界では寿命を伸ばすために、伝説であるような「生命の泉」の水を飲んだりはしない、それよりは次に挙げるいくつかの手法の組み合わせとなるだろう。
1.臓器が古びたり病気になったりしたら、組織工学や幹細胞テクノロジーで新しい臓器を培養する。 2.細胞の修復メカニズムの働きを強め、代謝を調節し、生体時計をリセットし、酸化を抑えるように作られたタンパク質や酵素のカクテルを摂取する。 3.遺伝子治療で、老化のプロセスを遅らせるように遺伝子を改変する。 4.健康的なライフスタイルを維持する(運動と良質な食事) 5.ナノセンサーを使って、発症する何年も前にガンのような病気を見つけ出す。 |
➁富の未来 ~勝者と敗者~
この章では科学とテクノロジーが繁栄の原動力であり、国と人々の富に密接に関係していることが記されています。
テクノロジーが進化すると、経済に急激な変化が起き、時に社会の混乱をもたらす。どんな革命にも「勝者と敗者」がいる。
人工知能には2つ基本的な障害がある、「パターン認識」と「常識」だ。未来にも残っている仕事は、ロボットにもできない仕事、つまりこの2つの能力を必要とする仕事となる。
「ブルーカラー」(ブルーカラーは「青い襟」の意で、肉体労働に従事する労働者の制服や作業服の襟などが青系であったことがその語源)の労働者だと、敗者になるのは反復作業をするだけの人(工場のラインで働く人など)になる。
逆に盛んになる職種として挙げられているのが、ごみ収集員、警察官、建築作業員、庭師、配管工などの現場での複雑な「パターン認識」や「常識」が求められる職種が挙げられている。
最近は自動運転もかなり当たり前になってきているので、タクシーの運転手も需要が無くなりそうですね。
➂人類の未来 ~惑星文明~
物理学者はあらゆるものを、人間の文明さえも消費するエネルギーによってランク付けするという。
長い人類の歴史の間、人間は自分がコントロールできる力は自分の筋力に限られており、過酷な環境のなかで食料をあさりながら小さな部族単位で移動する放浪生活をしていた。
しかし次第に馬を従えて1馬力の力を手に入れて、その力で耕した農地から作物を収穫できるエネルギーを手に入れ、やがて強大な軍隊、王国、帝国、奴隷制度、古代文明の出現につながったのである。
今や私達は、情報から富が生み出せる第三の波の中にいる、国家の富を計るものは、光ファイバーや人工衛星を経由して世界を駆け巡り、最終的にウォール街などの金融中枢でコンピューターの画面を踊り回っている電子である。
タイプⅠ・Ⅱ・Ⅲの文明
文明を評価する際、消費するエネルギーによってランク付けをする。このランク付けはソビエトの宇宙物理学者、ニコライ・カルダシェフが初めて導入した。
このⅠ~Ⅲの文明の詳細は以下の通りである。
タイプⅠ ・タイプⅠの文明は惑星規模の文明で、その惑星に降り注ぐ主星の光およそ10の17乗ワット消費する。 ・その惑星のエネルギー全てをコントロールできる文明。 「バック・ロジャーズ」や「フラッシュ・ゴードン」に登場する文明 |
タイプⅡ ・タイプⅡの文明は恒星規模の文明で、主星が放つ全エネルギーおよそ10の27乗ワット消費する。 ・100個ほどの近隣の星に植民地を作れるほどの文明。 「スター・トレック」の惑星連邦が挙げられる。(ただしワープドライブはない) |
タイプⅢ ・タイプⅢ文明は銀河規模の文明で、数十億個の恒星のエネルギーおよそ10の37乗ワットを消費する。 ・銀河一つの大部分を植民地化して、数十億の恒星系を支配している。彼らは銀河内の航路を自由に飛び回れる。 「スター・ウォーズ」シリーズに登場する帝国か、「スター・トレック」シリーズに出てくる「ボーグ」という機械生命体に相当する。 |
ちなみにこの分類によると、現在我々の文明はタイプ0の位置づけとなる。
死んだ植物、つまり石油や石炭からエネルギーを得ているため、この尺度では評価にさえ値しないのである。(もっと正確に計算した結果タイプ0.7であることが判明した)
しかし今の人類の成長の速度から計算すると、あと100年以内にはタイプⅠの文明になると記されていました。
感想
人類の今後の100年を今の現状を考慮して科学的根拠にもとずいて予測する「2100年の科学ライフ」!
471ページとかなりの文字数があり読み終わるまでに時間がかかってしまいましたが、実現可能な技術やテクノロジーの数々にワクワクしながら楽しく最後まで読むことができました。
またオススメの読み方としては、専門的な用語や、その分野の専門家の名前など、素人の僕には分からないことはすぐにスマートフォン片手にググって調べると、リアルに想像が広がりより楽しく読み進める事ができました。
今回ボクが紹介した事以外にもまだまだ興味深い科学技術やテクノロジー、ナノマシーン、AI、などまるで「やりすぎ都市伝説」のようなロマンのある書籍でした!ぜひオススメです!!